『イーディ、83歳 はじめての山登り』とかいう偏屈老婦人が紡ぐ感動映画の感想を記す

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日本版ポスター



こんにちは、もっさま(@mossamaguna)です。

 

本作はイギリスの都会に住むポッシュな老婦人イーディが、遠い昔にやり残したスコットランドの山スイルベン登頂をあるきっかけで思い出し、ひとり挑戦するヒューマンドラマです。

 

最後の10分は圧巻の一言。サイレント映画さながらに、登場人物の台詞は少なく、壮大な音楽を背景にハイランドの絶景を余すことなく映し出しています(ドローンを使った空撮でしょうか)。ラストシーンも、イーディの顔から滲み出る感情が相まって、その景色の美しさをより際立たせます。

 

キャプションの「Never too late」にある通り、この映画には「何かを始めるのに遅すぎるなんてことはない」という、挑戦を後押しするメッセージが込められています。

 

それ以上に私が感じたことは、家族愛に代表される人間関係の重要性でした。老いた両親がいる人の中には、経済的な援助されしていればいいだろうと考える人もいるのではないでしょうか。そして、それは必要条件かもしれませんが充分条件ではないと、この映画から改めて感じた次第です。

 

例の如く、ここから先はネタバレを交えつつ感想を書き連ねていきます。これからご覧になる方はご注意下さい。あらすじなんかは割愛します。

 

社会資本の重要性を再確認する

橘玲氏の『幸福の資本論』の枠組みで捉えてみる。

 

イーディはまとまった金融資本(現金)を持っていたが、夫の介護に人生を捧げてきたため、社会資本を形成してこれなかった。そして83歳となった今となっては、人的資本の形成もできそうにない。

 

資本をひとつしか持っていないと、ちょっとしたきっかけで貧困や孤独に陥るリスクが高くなることがわかります。(橘玲著『幸福の資本論』)

 

イーディは30年に亘り、車椅子生活を余儀なくされた夫を介護してきた。その夫がある日突然帰らぬ人となり、娘のナンシーがイーディを訪れる。二人の会話の中でイーディが発した「唯一心が休まる場所は近くのカフェだ」という台詞から、ナンシーは両親をあまり尋ねてこなかったこと、母の相談に乗ってこなかったこと、そして何よりイーディ自身が娘を頼ってこなったことが伺える。

 

橘玲氏の指摘する「ちょっとしたこと」はこの後イーディの身に降りかかる。

 

老人ホームの見学後、ナンシーと手分けをして家を整理している時にそれは起きてしまった。ナンシーは古い旅行鞄の中からイーディの日記を見つける。そこには母から父に対する読むに耐え難い不平不満が書き連ねてあった。あまりにショッキングな内容にナンシーイーディの制止を振り払い家を出ようとする。

 

その時、イーディは夫やナンシーの面倒を見てきたことを「duty(義務)」だったと口を滑らせてしまう。ナンシーの失望は頂点に達し、車で走り去ってしまう。おそらく唯一の肉親であろう娘との関係は、夫の死をきっかけに深まることなく閉ざされてしまう。

 

イーディは最後の社会資本を失ってしまうのだ。

  

イーディは死を覚悟していた?

イーディは文字通り決死の覚悟でスイルベン登頂に臨んだのだろう。その過程で様々なしがらみを振り払い、自由な身になっていく彼女の姿に心を打たれる。

 

先ず、洗面台で手を洗っている際に指輪を外し、自分の人生を規定した人物との繋がりの象徴である指輪をスイルベンに持っていかず置いていく。登頂を決意して家を出たことが第一の決別だとすると、ここで第二の決別をする。

 

次に、あわや遭難という時に見つけた山小屋の中で、父からのポストカードを山頂には持っていかず置いていく。このポストカードは父親との繋がりの象徴であり、この旅の根幹をなす重要なものである。

 

そして、急な斜面を両手も使いながら登るシーンで、数10kgはあり重しとなるリュックを投げ捨ててしまう。登山者のとってのリュックは生命線であり、正に命の象徴である。何とか急斜面を上り切ったが、イーディは疲労からその場に倒れ込んでしまう(ここでジョニーというもう一人の主役が助けにきます)。

 

過去と決別し、思い出と決別し、命を投げ打って、イーディはスイルベンの頂上にたどり着く。最後に、スイルベンを踏破した人たちがそうしてきたように、イーディは麓で拾ってきた小石を自分と見立て、山の頂上に置いていく。

 

自分との決別。

 

生まれ変わったイーディに山頂から見える景色はどのように見えたのだろう。

『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ」とかいうインセル映画の感想を記す

こんにちは、もっさま(@mossamaguna)です。

 

本作は1970年代のドイツを震撼させたシリアルキラーを描いた作品です。前回観たミッドサマー然り、胸糞映画が続き少しげんなりしております。

 

あまり人にお勧めできない映画だと個人的に感じました。題材が題材なだけに、暴力的な描写が頻出します。特に女性の視点から見ると、非モテが剥き出しにする情動は耐えがたいものに写るかもしれません。

 

そのような描写を作品として純粋に楽しめられればいいのですが、『テッド・バンディ』や『ジョーカー』のような、ある種のカリスマ性や美学は欠片もなく、作品として昇華されているか疑問が残ります。無残な殺人が極めて無計画に繰り返されるだけとも取れます。

 

例の如く、ここから先はネタバレを交えつつ感想を書き連ねていきます。これからご覧になる方はご注意下さい。あらすじやフリッツの人物像は割愛します。

 

「世の中ね、顔かお金なのよ」

 主人公のフリッツ・ホンカは生粋の非モテ人間性に問題があるインセルだ。

 

先ず、彼の容姿はお世辞にも良いとは言えない。腫れて曲がった鼻、斜視、後退した生え際、不揃いな歯並び、きつい猫背、ドイツ人にしては小柄な体格と、マッチョな男性像からは程遠い。いつも同じ服を着ているし、それもお洒落とは言い難い。

 

それに加えて経済力もなさそうだ。『半地下の家族』もそうだが、どこに住んでいるかで経済力は見て取れる。フリッツの住処はアパートの屋根裏だ。天井が斜めになっていることもあり大柄なドイツ人には向かないが、小柄な彼からすると住み心地は悪くなかったのかもしれない。当然ながら、一般的に不便な分、家賃も安いのだろう。また、下の階の住人はギリシャからの移民だ。彼ら移民は、第二次世界大戦後のドイツの労働力を補う為に受け入れてきたガスト・アルバイター(ゲスト・ワーカー)だ。当時の時代背景を勘案すると、移民と居住区をいつにするドイツ人は貧困層に属すると推察される。

 

そして貧困層にはお決まりの酒と煙草である。フリッツが常飲するのはシュナップスという無色透明の蒸留酒で、そのアルコール度数は40度以上ある。フリッツはシュナップスをパブでも家でもパカパカ飲んでいる。重度のアルコール依存症なのだろう。ドイツ労働者の酒ビールも出てくるが、フリッツはあまり手を出していない。煙草も所構わず吸っている。ライターの火が点かず苦戦している時に、不運にも車に轢かれてしまう始末だ。『ジョーカー』の時も感じたが、最近は劇中で煙草を見ると昔はクールに写っていたのに、今や貧困の象徴に見えてくるから不思議なものである。

 

先の交通事故をきっかけにフリッツの心境に変化が起こる。次の仕事に就くにあたり、酒を断ち、行きつけのパブにももう行かないと硬く決意する。そして「これが最後だ」とシュナップスのショットを飲み干すのだった。

 

残念ながら、ダイエットと同じく「甘いものはこれが最後」や「明日から本気出す」といった類の誓いは大抵うまく行かないのが世の常だ。

 

フリッツは新たな職場でヘルガという女性と出会う。彼女が彼の誓いを破るきっかけを作り、人生の歯車を巻き戻す張本人なのである。

 

ヘルガが最も罪深く見える不思議

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罪深き女ヘルガ

私はこのヘルガという女性が本作の中でも最も罪深い人物に写った。いや、冒頭でいきなり娼婦の頭を切断するフリッツが救い難い極悪人であることは言うまでもない。不思議なことに、人生を変えようと決意するフリッツを、私は応援する気になっていた。感情移入していた。そして、その決意を無残にも打ち砕くきっかけを与えたヘルガに憤りを覚えた。

 

フリッツはおそらくヘルガに一目惚れしたのだろう。非モテは当たり前のコミュニケーションやちょっとした親切で簡単に恋に落ちる。自宅に帰ると、殺した娼婦のものと思しき帽子に着いたアクセサセリーを乱暴に引き千切り、制服に着けてめかし込む。明くる日、バッチリ決めたフリッツはヘルガの居る更衣室へ向かう。ところが扉を開けるとそこには男性が居り、ヘルガの亭主だという。

 

ここでフリッツの心は打ち砕かれたはずだ。オマケにヘルガの誕生日を祝うどんちゃん騒ぎが始まり、フリッツの目前で2人は踊り狂い、身を寄せ合う始末だ。駄目押しにヘルガの亭主は酒を勧める。しかし、フリッツは断固として断る。本当によく耐えたと思う。

 

後日、ヘルガが急にフリッツの更衣室を訪れる。彼女は亭主の体たらくぶりと自分の人生に対する不満を吐露し、涙を流す。ヘルガが見せてしまった、このイノセント加減と女の弱み。非モテ非モテたる所以やその業を一切わかっていない。これでフリッツは頗る動揺したに違いない。

 

極め付けに、ヘルガはフリッツに酒を勧める。パブで老年の娼婦に酒を勧めても、容姿を理由に断られていた男が、恋い焦がれる女性から、しおらしい姿で、逆に酒を勧められる。この辺りを罪深いとあえて言いたいのだ。This is not consentは非モテには通用しない。不都合な事実だ。

 

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This is not consent

 

フリッツの承認欲求は溢れんばかりに満たされたはずだ。断る理由はない。ついに酒に手を出してしまう。これをきっかけにヘルガをレイプする寸前の暴力を働き、愛飲していたシュナップスを家で飲み始めるなど、救い難いフリッツが戻ってくる。

 

ヴィリーの役割は何だったのか

 さて、序盤と終盤のみ登場する人物にペトラとヴィリーが居る。ペトラはフリッツが一目惚れした女子高生である。ヴィリーもまたペトラに気がある同級生で、出自の良いお坊っちゃんである。

 

思うに、ヴィリーは「世の中ね、顔かお金なのよ」のアンチテーゼなのではないか。

 

序盤に登場した時は、ペトラの気のない反応からして、女の子とは無縁であったフリッツの青年時代を想起させる役割だと思った。しかし、物語の終盤ではちゃっかりペトラと二人で例のパブを訪れている。

 

美人を連れ立って気が大きくなったのか、ヴィリーはトイレで小便をしながら常連客に挨拶をかます。これが災いし、その常連客から小便を浴びせられる。ヴィリーはペトラそっちのけでトイレに篭ってしまう。

 

ひとり店内で待つペトラはナンパにあうも適当にあしらう。食い下がるナンパ男に嫌気しトイレに向かい、ヴィリーに帰ろうと声をかける。しかし、篭って出てこないヴィリーから「先に帰ってろ」と言われてしまう始末。ヴィリーもまた非モテの業を背負っている。

 

フリッツと比較すれば、ヴィリーはお金もあるだろうし顔もそこまで悪くないように見える。しかしそれだけではダメなのだ。では何が足りなかったのか。それは相手に屈しない強い体なのか、はたまた精神なのか。それとも「調子に乗ったら怖い人にオシッコかけられちゃったテヘペロ」と情けない自分をさらけ出せる勇気なのか。

 

何れにせよ、残虐性で見え難くなったフリッツの非モテ像とは対照的に、ヴィリーは日常の風景から非モテ像を見せてくれている。

 

 

 

最後になるが、全ての悪事が明るみになり警察に呼び止められるフリッツが放つセリフが不可思議だ。

 

“俺がそう言ったのならそれが正しいだろう”

 

なぜ嘘をつかなかったのか?なぜ弁明しなかったのか?自己中心的な子供ならそうしたはずだ。それとも、無計画な殺人よろしく、ここでも頭が回らずに脊髄反射で言い放ってしまったのか。謎である。

『ミッドサマー』とかいう鬱映画の感想を記す

こんにちは、もっさま(@mossamaguna)です。

 

『パラサイト 半地下の家族』を観た時の予告編で興味を引いた『ミッドサマー』を観てきました。予想以上の鬱映画でしたので、気の向くままに感想を書いていきたいと思います。

 

まだご鑑賞でない方は、ねたバレを含みますので読むことはお勧めしません。

 

また、当方背景知識のないど素人ですが、批判は甘んじて受けようと思います。

 

この映画の特徴を一言で表すと、「展開は読めるけど、描写がそれを上回る」です。

 

主人公の女性はダニー。その恋人が人類学を学んでいるとかいうクリスチャン。

 

クリスチャン友人であり交換留学生のペレ(こいつが諸悪の根源、てか交換留学生って設定の描写ありましたか?)は、人間の人生を四季に擬えて年齢ごとの役割を説明しますが、あえて72歳以降の人類の役割を語りません。

 

その代わり、親指で首を刈る動作を行います。

 

この後、明らかに老年の爺婆の登場人物が食事の席の末端に登場し、さも宴の主人公かのように振舞います。宴の席順を見ると、明らかに年齢の順に並んでいるように見受けられることから、「あぁ、この二人は72歳を迎えたので死ぬんだろうな」と思いました。

 

しかし、あの二人があんな描写で最期を迎えるとは正直思いませんでした…

 

ここで気になったのは、アッテストゥパンで翁が飛び降りて死に損なった時の村人の反応です。

 

みんな残念がっているように振舞うんですね、「何やっとんねん!」的な。

  

映画のフィナーレを迎えるシーンでもこの残念がる反応を見ることができます。

 

フィナーレでは村人が「口にすれば痛みや恐怖を感じない」という何かを口にしたにもかかわらず、炎に包まれた時には悲鳴を上げています。

 

 それに対し儀式を見守っている村人は、自分の代わりに自ら生贄として犠牲になる人間に対し、尊敬の念というよりむしろ落胆の表情を浮かべているように見えます。

 

これを見て私は、「この村にいる人間は古くからの習慣を虚構として理解していて、その虚構の演者として不適格な人間に対して残念な気持ちを表明するんだな」と解釈しました。

 

つまり、大いなる茶番を茶番として演じきれない人間を嘲っているように感じました。

 

そんな茶番を真に受けてしまったのが主人公のダニー。

 

序盤の意味不明な展開で両親と妹を失ってしまう(なんで妹さんは口にホースが繋がれているように見えたのに、吐瀉物が服に纏わりついているの?)。

 

唯一の心の拠り所である恋人とはうまく行っておらず、村での極限状態にも関わらず「あなたも一人で逃げそう」とか言ってしまう始末。

 

家族を失い、恋人も信じられないダニーは自分という存在をありのままに受け入れてくられる村に徐々に溶け込み、最終的には自分の意思で恋人を生贄に捧げてしまう。

 

恋人か村人か、究極の選択を迫られるシーンのダニーの表情は葛藤や苦悶そのもので圧巻の一言。

 

なのに、9人目の生贄として自分が捧げた恋人が炎に包まれるシーンでは笑みを浮かべます。まるで、今までのしがらみから解放され、新しい拠り所を見つけたかのように。

 

こうやって連綿と、この虚構は続いていくんだろうな、と思いました。

iPhone Xsを中古で購入してみた

こんにちは、もっさま(@mossamaguna)です。

 

これまでiPhone 6sをUQmobile回線で利用していましたが、そろそろ端末を新しく買い換えようと思い、中古のiPhone Xs楽天市場で購入しました。

 

その後、データの移行や各種設定、SIMカードの交換が滞りなく済み、快適なスマホライフを送っています。

 

去る2019年の9月にiPhone 11シリーズが発売され、過去シリーズの価格が下がりましたので、これを機に端末のアップグレードを検討している人も多いかと思います。

 

中古のiPhoneってどうなの?

赤ロムやネットワーク利用制限ってなに?

 

決して安くはない買い物、私も購入前は不安でしたので色々調べました。

 

なぜiPhone Xsなのか

アップルストアで実際にiPhone 11シリーズに触れた感想としては

 

iPhone 11

→良心的な価格だけど端末が大きすぎ

 (¥74,800~/6.1inch) 

iPhone 11 Pro

→端末の大きさは悪くないけど高すぎ

 (¥106,800~/5.8inch)

iPhone 11 Pro MAX

→高いし大きすぎ

 (¥119,800~/6.5inch)

 

と、高いか大きいかの理由でiPhone 11の購入は見送りました

 

続いてiPhone XRを手に取りましたがこれまた大きい(6.1inch)ので却下。

 

となると、iPhone XiPhone Xsが大きさ的に候補になります。

 

スペックに大差はないようですので、上位機の位置付けになるiPhone Xsを購入することに決めました。

 

しかし、どちらもアップルストアでは取り扱いが既に終了しています。

 

そこで、中古を調べてみることになった次第です。

 

中古のメリット

中古のメリットは価格の安さと選択肢の豊富さに尽きます。

 

更に、私は楽天経済圏の民なので、楽天市場で購入すれば楽天ポイント倍付と、店舗によってはキャッシュレス5%還元*を享受することができます。

*何も楽天カード決済に限り、ポイント還元は20年6月30日23:59まで

 

条件はiPhone XsSIMフリー、64GB、スペースグレイで探していたのですが、7万円台のものが何件かヒットしました(19年12月当時)。

 

iPhone 11と同額の¥74,800で購入したとすると、3倍付(楽天会員+楽天カードで達成)の場合は楽天ポイントが約2,200pt付与、キャッシュレス還元が3,740pt還元されます。

 

これで約6,000pt付与されるので、実質7万円を下回ります。

※一方アップルストアでは、iPhoneを下取りに出せる点をお忘れなく

 

ひとえにiPhone Xsと言っても、カラー、容量、端末の状態など、選択肢は多岐に亘りますが、楽天市場ならぴったりの物が見つかるかもしれません。

 

是非、選択肢の候補として検討してみてください。

 

中古のデメリット

中古のデメリットはネットワーク利用制限(通称:赤ロム)のリスクに尽きます。

 

 ネットワーク利用制限とは、一定の条件下でキャリアが通話や通信をできなくする仕組みです。

 

一定の条件とは、次のようなものがあげられます。

 

  1. 本体代金分割金の未払い
  2. 不正契約の発覚(虚偽の個人情報など)
  3. 盗難の発覚

 

これは、不正に入手された端末が振り込め詐欺などの犯罪に利用されることの対策として導入されたものです。

 

端末が制限されているかどうかは、各キャリアのHPで照会できます。入力する情報は、IMEIと呼ばれる識別番号です。iOSでは「設定」>「一般」>「情報」から確認できます。

 

各キャリアのネットワーク通信制限照会:

 

照会結果とその状態は次の4つです。

 

◯:端末代金完済

△:残債あり、一括購入直後など

× :ネットワーク通信制限中

ー:誤入力、本体交換製品、未反映

 

ちなみに私の端末は「△」です。これは調べた結果と若干安価な価格設定から選びました。

 

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「△」は少し安いんですよね〜

 

「△」が「×」になる可能性ですが、端末の中古販売を手掛ける株式会社イオシスの実績では0.037%と限りなく低いことが確認できます。

 

また、同社から端末を購入した場合、仮にネットワーク利用制限になったとしても、同等品との交換または全額返金が保証されています。

 

iosys.co.jp

 

 なお、「△」が「×」になっても、Wi-Fiテザリングの環境下では通信は利用できるため、「×」になったからといって端末が即お払い箱とは言い切れません。

 

また、SIMフリー端末であれば、制限をかけてくるキャリアとは別のキャリアの回線を利用すれば制限を回避できるという情報もネット上には存在します。これは私の端末に通信制限がかかった時に改めてブログで報告したいと思います(もちろん願わくば起こらないでほしい)。

 

いずれにせよ、中古を購入する時の原則は次の2点でしょう。

 

  • ネットワーク通信制限の状態が「△」より「◯」であることに越したことはない
  • 「×」になる可能性は低いとはいえ、赤ロム永久保証が付くお店を選ぶと安心

 

(中古市場には、オークションやメルカリといった個人間の取引もありますが、トラブルが怖かったので今回は調べませんでした)

 

男だけどブラジリアンワックスでVIOをハイジニーナにしたらトンデミーナだった話(お店紹介なし)

こんにちは、もっさま(@mossamaguna)です。

 

突然ですが、意を決してブラジリアンワックスでVIO脱毛に行ってきたので記事にしました。全然参考にならないので気をつけてください。

 

もともとヒゲのレーザー脱毛に通っていて、VIOの処理にも興味がありました。

 

VIOも、ヒゲと同じくレーザーにしようかと悩んでいましたが、自身の無毛状態が全く想像できず、一先ず無毛状態を確認すべくワックスにしようと漠然と考えておりました。

 

しかし、男性読者にはもうおわかりの通りです。

 

怖気付いていたのです。

 

一本の、たった一本の毛が、不意に竿の皮に巻き取られるだけで引き起こされるあの激痛。

 

その毛を根こそぎ抜き去る。

 

それも三角州のみならず、蟻の門渡りからK門に至るまで。

 

それが痛くない、恐怖を掻き立てないという事がありえようか(いや、ない)。

 

しかし

 

時は令和、平成と共に古いしがらみは捨て去る時が来たのだと、自分を奮い立たせる。

 

こうして私は、2020年をVIO脱毛元年にすべく、知人に紹介してもらった銀座の某店を訪れる決意を固めた。

 

事前準備

ブラジリアンワックスとレーザーの大きな違いは、事前にVIOを剃っておく必要がない点だ。

 

従って、街を散策している時、ブラジリアンワックスの看板を偶然見かけた際に

 

「お、最近伸びてきたし、久しぶりに行くか」

 

と、あたかも前髪を少し整えるかのような感覚で行くことも可能だ。

 

強いて言えば、外出前にデリケートゾーンを入念に洗っておくことだろう。

 

ちなみに私は、入店前にトイレに行き、デリケートゾーンをトイレットペーパーで入念に拭いた(後述するように、この行動は全く意味を為さなかったが…)。

 

いざ入店

銀座某地の雑居ビル、結構年季が入っている。

 

お店があるフロアまで階段を上り、ドアのインターホンを押す。

 

ワクサー「どうぞ〜」

※ワックス有資格者のことはワクサーと呼ぶ

 

ドアを開けると、そこに立っていた女性は若く美しかった。目にはカラコンを入れている。

 

手に見ると爪は短く整えられている。プロ意識を感じる。

 

やたら咳込む内科医や太ったパーソナルトレーナーが信用に欠けるように、私たちは美容家には美しくあって欲しいと期待している。お店側からすれば、その人自身が重要な広告塔なのだ。ワクサーもこの例に漏れない。

 

ここで強調しておきたいことがある。

 

藤沢先生の言葉を借りれば、「インターネットにばら撒かれた阿片の如きポルノ」に毒された男性に取っては、ラッキースケベのような素敵なサムシングを期待して、胸と股間を膨らませるかもしれない。

 

しかし断じてそんなことは起こらない。込み上げてくるのは恥ずかしさばかり。

 

特定の状況でしか日の目を見ない部分を見られることなのか、赤の他人に触れられることなのか、或いは俺史以来数十年ぶりに無毛状態(ハイジニーナ)を見られることなのか、この恥ずかしさの原因はうまく言語化できない。

 

施術内容を丁寧にご説明頂き、施術室へ通される。

 

いざ施術

部屋に入ると、そこには施術台と施術用具台と全身鏡が置いてあった。

 

ワ「そこにある消毒用のペーパータオルでVIOを拭いて、専用のゴミ箱に捨てて下さい。下着とズボンを脱いだ状態で、施術台に寝転び、タオルをかけて待っていて下さい。」

 

入店前にトイレで拭いた私なりの心遣いは、水洗トイレを流すが如く水泡に帰したが、ペーパータオルで今一度VIOを入念に拭いた。

 

施術台に乗る前に、全身鏡に映った自分を見つめる。暫く見ることはないであろうノン・ハイジニーナがそこには立っていた。

 

 

 

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ワ「準備はできましたかー?」

 

も「はい、お願いします」

 

ワ「では、失礼します」

 

マスクを装着したワクサーさんが入ってくる。アイメイクとカラコンがより際立つ。

 

ワ「恥ずかしいですよね、けどすぐ慣れますよ。V、I、Oの順番で進めます。ワックスは温度が高めなので、最初はびっくりするかもしれません。では早速始めます」

 

そう言うと、局部にかけていたタオルが取り払われ、それ(it)が姿を露わにした。薄暗い部屋の中、ライトに照らし出される it。シュールな絵である。

 

ワックスが塗られる。確かに温かい。ついにここまで来てしまった。ポイント・オブ・ノーリターン。左右に分けて、Vの外側から竿に向かって処置するそうだ。

 

「では、始めま〜す」

 

全身に力が入る。きっと俺の玉袋も縮み上がったことだろう。

 

 

 

ベリッ!

 

 

 

お?

 

 

 

これは…

 

 

 

全然痛くないぞ!!!

 

 

 

ベリッと剥がしては、剥がした部分を別の布で押さえる、これの繰り返しである。感覚的には、ネプチューン・ホリケンの「じゅんじゅわ〜」を連続で股間に繰り出されている感じだ。

 

しかし、ヒゲのレーザー脱毛、ホワイトニング、レーシック、筋トレと、抗おっさん化に関する数々の試練と比較すると、ほぼ無痛に等しい。

 

確かに、噂通り竿に近づくほど痛みが増すが、全然大丈夫だ。

 

勝利を確信した私は、ワクサーさんと世間話ができるほど余裕を取り戻した。

 

男性客もだんだん増えてきたこと、

女性より男性の方が痛みがあること、

男性のワクサーはまだまだ人数が少ないこと、

数年間ワックス講師を続けて最近独立したこと、、、

 

お金を払って第3者に毛を整えてもらいながら世間話をする、もはや美容室で髪を切ってもらうことと、本質的には同じ状態だ。

 

 

 

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突然、得体も知れない恐怖を覚えた。

 

竿にワックスが塗られている。

 

なんかもう、この時点で、明らかに、痛そうな感じで、確実にこれまでとは違う。

 

 

 

ベリッ!

 

 

 

も「んフゥッ!」

 

 

 

ワ「あ、痛いですよね〜。この部分はVと比べると皮膚が柔らかいから、毛に引っ張られて皮膚が伸びる分、痛みがあるんですよね」

 

と、冷静に解説しつつも手を緩めることはないワクサーさん。

 

も「(大丈夫、竿にはそんなに生えていない。耐えろ、耐えるんだ…!)」

 

しかし、私は恐ろしい事実に気付いてしまった。

 

男性読者ならきっと心当たりがあるだろう。

 

玉袋である。

 

個人差はあると思うが、玉袋は竿並みに皮膚が柔らかい上に、竿以上に生えている。

 

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ワクサーさんの手が玉袋に伸び、ワックスが塗られる。


ベリッ!

 

も「ッッッッ!」

 

ベリッ!

 

も「ひぐぅっ!」

 

ベリッ!

 

も「ぬわーーっっ!!」

 

 

 

男性のVにはもうひとつのVIOが隠されている。

 

すなわち

V(三角州)

I  (竿)

O(玉袋)

である。

 

IとOに毛が生えている人は覚悟してほしい。

 

 

 

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ワ「はい、Vのワックスはこれでおしまいです」

 

も「ありがとうございます(?)」

 

も「ん?『ワックスは』?」

 

ワ「はい、これからワックスでは取れない短い毛をピンセットで取っていきます」

 

も「なるほど、お願いします」

 

ワ「はい、じゃあ抜いていきまーす」

 

 

 

プチッ

 

も「痛ってぇ!」

 

これが地味に痛い。毛抜きで眉毛を抜くのとは大違いである。鼻毛より痛い。

 

しかしここで諦めてはいけない。剃り残しと同様に、少し残っていると台無しである。

 

 

 

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絶え間なく続くピンセットでのきめ細やかな処置を終えるやいなや、

 

ワ「施術対象じゃないけど、ついでにこの内腿の気になる毛、抜いちゃいますね〜」

 

と、ワクサーさんの毛の処理に対する並々ならぬ意識の高さを垣間見ることができた。

 

その後に続くIとOは全然痛くはなかった。しかし、ピンセットはどの部位も同レベルの痛みを伴うので覚悟してほしい。

 

あと、Oの時の体勢は回復体位のそれに近かったので参考になれば幸いだ。

 

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回復体位



 

 

 

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これからVIO脱毛に挑戦する人に1つアドバイスできるとすれば、前もってトイレを済ませておくことだ。

 

私はOの処理に入る頃に便意を催してしまい、毛を抜かれた拍子に屁が出てしまわぬよう細心の注意を払っていたら「お尻の力を抜いてください」と3回ぐらいワクサーさんに注意されてしまった。

 

それ以降はスタンド・バイ・ミーを口ずさみ気を紛らわせていた。

 

 

 

施術完了

ワ「はい、これで施術は全て終了です。お疲れ様でした」

 

こうして数々の試練を乗り越え、晴れて私はハイジニーナに転生することができた。

 

ベッドの上で、恐る恐る彼の地に手を伸ばす。

 

そこには産声をあげた日の如きお肌があった。

 

ベッドから降り、全身鏡を見る。いよいよご対面である。

 

 

 

 

 

も「おぉ!完全につるつ・・・???」

 

 

 

 


も「うわ・・・私のちんこ、小さすぎ・・・?」

 

 

 

 

 

施術前の説明には無かったが、VIO脱毛するとちんこが小さくなる副作用があるらしい。

クリスマスのプレゼントの候補としてAVEDAの名入りブラシを提案したい

クリスマスが今年もやってきますね。

 

山下達郎竹内まりやよりKICK THE CAN CREWに思いを馳せるもっさま(@mossamaguna)です。

 

さて、クリスマスプレゼントは何にしようかと、奔走している人も中には居るのではないでしょうか。

 

今回はそんなプレゼントの候補として、AVEDAの名入りブラシをご紹介します。

 

クリスマスシーズンということもあってか、特別キャンペーンが店舗とオンラインショップで開催されており、通常のキャンペーンよりも内容が充実しています。

 

なお、キャンペーン内容は店舗と通販、そして店舗ごとに少し異なります。

 

オンラインショップのみならず、実際に店舗へ足を運んでキャンペーン情報を確認して参りましたので、購入をお考えの人やプレゼントに何を贈るか検討中の人の参考になれば幸いです。

 

結論

納期重視の人は店舗で購入しましょう。

刻印作業含め商品の受け取りまでたったの10分程度です。

 

店舗で購入するなら南青山店一択です。

 

モチーフが気になる人はオンラインショップをチェックしましょう。

 

表にまとめてみました。

 

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店舗のキャンペーン詳細

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NEWS | アヴェダ ライフスタイル サロン&スパ 南青山 | AVEDA 直営店サイト

 

・期間

12月25日(水)まで

 

・店舗

①アヴェダ ライフスタイル サロン&スパ 南青山店

 

②アヴェダ ショップ 新宿ミロードモザイク通り店 

 

・条件

パドルブラシまたはミニパドルブラシに加え、

レメディーシリーズの商品、または

ホリデーギフトセット、または

ショップ限定ギフトセットを購入する。

 

・刻印

アルファベットの大文字と小文字を10文字以内で自由に組み合わせられます。

加えて、今回の限定スペシャルモチーフ(太陽と月)を任意で刻印できます。

なお、刻印サービスの上限は7本までです。

 

・ラッピング

写真撮影はNGでしたが、ラッピングにはブラシ用ボックスや他の商品とのアソートバック(透明)がありました。

ラッピングに使うリボンは5種(茶、白、緑、桃、限定カラーの黒)から選べます。

 

・南青山店限定

刻印のために追加で購入する商品が税込3,300円以上だと、7種のスワロフスキークリスタルから1種を選んでブラシの刻印面に付けることができます。

さらに、アヴェダスター製品と呼ばれる商品を選んだ場合、追加で星形のスワロフスキークリスタルも付けることができます。

 

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写真見難くて本当に申し訳ありません。

 

チャクラの7色の詳細はこちらをご参照ください。

 

 

 

 

 

オンラインショップのキャンペーン詳細

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アヴェダ 公式 オンラインショップ | 自然界由来成分配合のヘアケア

 

・期間

12月23日(月)まで

配送を考慮してでしょうか、店舗より2日短いですね。

 

・条件

パドルブラシに加え、もう1点商品を購入

ミニパドルブラシはキャンペーンの対象ではありませんが、刻印の条件は店舗と比較して緩いですね。

 

・刻印

モチーフは6種類から選べます。

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店舗の刻印と比べると、どれもポップで可愛らしいですね。

 

モチーフの種類が多い反面、刻印の自由度が店舗よりやや下がります。ラッピングサービスもありません。

 

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また、アラートの通り配送遅延のリスクもあります。

 

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季節性の高いトピックなので、ブログはここまで。

 

なお、店員さんに教えていただいたのですが、パドルブラシはスカルプケア商品ということもあり、自分用に購入する男性客もちらほら居るようですよ。

【感想】『逆転交渉術 -まずは「ノー」を引き出せ-』にはライフハックがつまっている

こんにちは、もっさま(@mossamaguna)です。

 

昨年購入し、折に触れては読み返している本があります。それは『逆転交渉術 -まずは「ノー」を引き出せ-』という本です。

 

逆転交渉術――まずは「ノー」を引き出せ

逆転交渉術――まずは「ノー」を引き出せ

 

 

「交渉」という言葉を聞くと、「取引先との価格交渉で〜」とか「難しい交渉だが〜」など、仕事の場面を連想すると思います。私自身も、仕事上のスキルとして身に付けるべく、手に取ったことを覚えています。

 

ところが、交渉はビジネスパーソンに限らず、あらゆる人にとって有益なスキルであると著者のクリス・ヴォスは主張しています。

 

職場や家庭でのやりとりの多くは交渉だ。要は単純な動物的衝動を「してもらいたい」ということばで表現しているにすぎない。

 

これから学ぶ交渉とは、結果をともなうコミュニケーションのことだ。人生のなかでほしいものを手にいれるということは、他の人からーあるいは他の人とともにーほしいものを手にいれることだ。すべての関係において、二者の対立は避けられない。ならば、傷を残すことなくほしいものを手にいれるため、その対立にどう関わるべきかを知ることは、役に立つーというよりも不可欠と言っていい。

 

また、本書が他の交渉を題材にした本よりも優れている点は、著者が元FBIの人質交渉人である点です。

 

立て篭もり、誘拐、テロといった人の生死が左右される場面で、はたして交渉に失敗が許されるでしょうか?

 

本書では、人質交渉人としての24年のキャリアに加え、ビジネススクールや企業でコンサルティングを行ってきた10年の経験と実績が生み出した多数の交渉テクニックを、エピソードを交えて紹介されています。

 

今回は、その中でも明日からすぐ実践できるテクニックを5つご紹介したいと思います。

 

1)ミラーリング

まずはミラーリングと呼ばれるテクニックです。

 

これは、文字通り鏡のように相手がいったことをくり返すテクニックです。

 

人の発言をくり返すことにより、 模倣行動という本能が刺激され、相手は先に言ったことを詳しく言い直したり、関係を作る行為を続けざるを得ない。

 

想像してみてください。

 

ビジネスの場面で、たった今説明した◯◯という内容に対し、お客様から「◯◯、ですか?」と返される自分を。

 

まるで、自分の説明が不十分であったかのように感じられるのではないでしょうか。

 

ミラーリングが効くと相手に話を継続させる作用が働きます。これにより自分の時間を稼ぎ、次の一手を考えつつ、相手の手の内を更に明かさせることができます。

 

2)沈黙

 ミラーリングとセットで使いたいのがこのテクニックです。

 

具体的には、ミラーリングを行ったのち、文字通り沈黙すること。それも4秒間。

 

心理学者でコミュニケーション理論家のポール・ワツラウィックの有名な言葉に

 

「One cannnot not communicate」

 

というものがあります。

 

これは「人間はコミュニケーションしないことはできない」という意味です。

 

例えば、係り合いたくないがために相手とコミュニケーションしない(=無視する)ことがあります。しかし、これはコミュニケーションを取りたくないというメッセージを発信していることと同じです。

 

場合によってはこのメッセージを誤解し、

 

「私に気があるから恥ずかしくて避けているんだな」

 

という意味を見出す人もいるかもしれません。

 

さて、ミラーリング+沈黙の文脈では、相手はこの4秒間の沈黙に何かしらの意味を見いださざるを得ない、ということになります。

 

これを「説明が不十分であった」あるいは「会話のボールは今こちらにある」と相手が解釈した場合、鏡の魔法が効いたことになります。

 

沈黙は時として永遠のように長く感じられることがあります。普段から4秒間堪える訓練を積みましょう。

 

間を埋めたくなる気持ちはよくわかります。しかし心配に及びません。

 

それは相手が埋めてくれます。

 

3)共感

3つ目のテクニックは共感です。

 

自分の考えに共感してくれる人が周りにいると心強いですよね。

 

では、具体的に「共感する」とはどのようなことを指すのでしょうか。

 

「◯◯さんの気持ち、よくわかるよ」

「◯◯さん、私も同じ意見だよ」

「わかりみが深い」

「左様」

 

否です。

 

共感とは相手の感情や感じていることを言語化(=ラベリング)することだと著者は指摘しています。これは相手の心の声を鏡で表現しているため、ミラーリングの高等テクニックと言えるでしょう。

 

ラベリングを英語では「It seems that 〜」と表現しています。

 

日本語に訳すと、「〜のようですね」という表現に相当します。

 

 相手の気持ちがわかるなら、それを言葉にして表現できるはず。

 

抽象的な表現ではなく、相手の気持ちを具体的な言葉で表現しましょう。

 

4)要約

人と話をしていて「この人本当に私の話を聞いている?」と感じたことはありませんか。 

 

例えばあなたが誰かと話をしていて、「うん」とか「そうだね」といった相槌ばかりを相手が繰り返している場面を想像してください。

 

話を続ける気がだんだんとなくなっていくとは思いませんか?

 

では立場を変えて、あなたが話を聞く場面ではどのように反応するのが効果的でしょうか。

 

そこで登場するテクニックが「要約」です。

 

「要約」とは「言い換え(=パラフレーズ)+ラベリング」と著者は説明しています。

 

パラフレーズは「相手の説明の中から重要な要素をピックアップして短くまとめる」こととは大きく異なります。これでは「要は◯◯でしょ」という、いかにも短絡的で相手に寄り添っていないコミュニケーションに陥る可能性があります。

 

言い換えというプロセスが重要で、自分の言葉で表現することで「私はあなたの話を聞き、理解し、咀嚼している」ことを強力にシグナリングできます。

 

手短に表現することは避け、自分の言葉に言い換えるよう心がけましょう。

 

5)非難の聴取

最後のご紹介する「非難の聴取」は、ここぞという場面で頼りになるテクニックです。

 

著者の言葉を引用すると次の通りです。

 

相手があなたに言うかもしれないひどいことを、ひとつ残らずリストアップすることである。

 

何か過ちを犯した時の対応に人間性がよく現れるものです。逃げたり隠そうとすればするほど、あなたの評価は地に落ちていきます。

 

そうであれば、相手から言われる前に自らの言葉に発し、その事実を理解し受け入れていることを表明するほうが、ずっといいに決まっています。

 

興味深いことに、「非難の聴取」の内容を相手が同じように考えていた場合、それは「共感」として作用して対立を防いでくれると著者は指摘しています。

 

逆に相手はそうとは考えていない場合、アンカリングとして作用し「そこまで酷いことないよ」と寛容に捉えてくれます(経験としてはこちらに作用することが多い)。

  

「非難の聴取」が済んだら、勇気を出してこう切り出しましょう。

 

「◯◯さん、聞いてください。私は本当にどうしようもないやつです、最低です。」

 

続いて「非難の聴取」で挙げた内容を2、3ラベリングする。

 

相手から説明を促された後、本題に入り、自分の過ちを誠意を持って伝えましょう。

 

私これを「劇場型謝罪」と呼び、やらかしてしまった時に使います。

 

 

 

 

 

=====

 

全てのテクニックに共通して重要なことですが、表情、声のトーン、話すスピード、ボディランゲージには十分注意しましょう。

 

原則として、にこやかな表情を浮かべ、声は穏やかに、ゆっくりと話し、手・腕・脚はリラックスさせましょう。

 

特に相手が怒りの熱を帯びている時に、無表情、毅然とした声、早口、腕や脚を組むと非難がましい印象を与え、火に油をそそぐような結果になりかねません。

 

人は論理で理解し、感情で納得するものです。

 

今回ご紹介したテクニックを通じて、理論武装するだけでなく、相手の感情へ効果的に訴えかけられるようになれば、人生がまたひとつ豊かになるかもしれません。 

 

逆転交渉術――まずは「ノー」を引き出せ

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影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか

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ぼくは愛を証明しようと思う。 (幻冬舎文庫)

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