SCMの国際的資格であるAPICSのCPIMを受験したので勉強方法などをまとめてみた

こんにちは、もっさま(@mossamaguna)です。普段はある企業の物流系子会社に勤めています。そこで親会社から出向してきた直属の上司に詰められる日々を送っております。今日も出社するやいなや詰め寄られると思うと胃がキリキリしますね。もし不幸にも日本に隕石が落ちてくるなら、ぜひわが社めがけて、と思う次第であります。

 

さて、今回はASCMという団体が認定するAPICSのCPIMという資格の受験記録を書きました。あまりメジャーな資格ではないため、周囲の人やネットに参考になる情報が少なかったため、ブログに書こうと思いました。

 

資格の紹介に加え、受験前に知っておきたかったことも書いています。受験を検討中、あるいは試験を控えている方の参考になれば、とても嬉しいです。

 

 

資格のご紹介

まず、ASCMやAPICS、そしてCPIMについてご紹介します。そもそも何の略称なの?という方は読んでみてください。

 

ASCM(Association for Supply Chain Management)とは、アメリカのシカゴに本部を構える組織で、プライチェーンに関する教育と資格認定を行う団体です。ASCMが認定する資格は、サプライチェーンマネジメント(SCM)の専門家として国際的に認められるもののひとつです。

 

www.ascm.org

 

APICSとは、ASCMが認定する各種資格のブランド名です。認定資格には今回受験したCPIMの他、CSCP、CLTD、そしてSCORの4種類があります。

  

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CPIMはPart.1とPar.t2の2科目で構成されており、企業の内部プロセスを中心に学びます。

 

Part.1は1モジュール10セクションで構成されており、モジュール内容はBSCM(Basic for Supply Chain Management)のみです。Part.2は4モジュールで構成されており、各モジュールの内容は次の通りです。

 

テキスト①

モジュール1:SMR(Strategic Management Resources)8 セクション

モジュール2:MRP(Master Resource Planning)4 セクション

 

テキスト②

モジュール3:DSP(Detailed Scheduling Planning)5 セクション

モジュール4:ECO(Execution and Control of Operations)4セクション

 

国際的に認められる資格ということもあり、SCMという分野に興味がある方はぜひトライしてはいかがでしょうか。また、CPIMの有資格者は全世界で100,000人以上いますが、日本には1,000人未満と認知度が低い点も、見方によればレアな資格と言えるのではないでしょうか。*2

 

受験しようと思ったきっかけ

私が受験に思い至ったきっかけは、ある本との出会いがきっかけでした。それは、三枝匡先生が書いた『V字回復の経営』という本の中で、「創って作って売るが商売の基本」と指摘しており、私はハッとしました。

 

V字回復の経営―2年で会社を変えられますか (日経ビジネス人文庫)
 

 

全体最適思考であるSCMの視点でものを考えるには、どのように「創って作って」いるのかを知る必要がある、そう思いました。

 

そこで、「作って」の基本のキを体系的に学べる学問を調べていた時、日本生産性本部のホームページでAPICSに出会いました。また、専門分野に英語を掛け合わせて自身の市場価値を高められるのではと考え、直ぐに日本生産性本部主催のセミナーへ参加しました。

 

apics.jp 

日本生産性本部は、日本におけるAPICSの認知度を向上させるべく、その普及と教育を行っている機関です。活動の一環で、APICSの有資格者が登壇するセミナーや、SCMに関連する講演会を無料で開催しています。会の後には、近隣のお店で会食も開催してます(こちらは有料)。

 

私も過去2回参加させて頂きましたが、有資格者がどのような仕事に携わっているのか、あるいは資格をどのように仕事に活かしているのか聞くことができるので、とても参考になります。

   

テストの概要と受験費用

テストの概要

テストの概要は以下の通りです。全て英語ですが、設問はほぼ選択問題なので、わからなくてもひとまず勘で回答することはできます。

 

  • 形式:テストセンターでのWebテスト
  • 会場:最寄りのテストセンター
  • 時間:225分(3時間45分)
  • 設問数:150問
  • 設問パターン:ほぼ四択択一問題、一部計算問題、稀に並び替え問題
  • 言語:英語
  • 合格ライン:300点以上

 

会によって異なるとは思いますが、Part.1とPart.2を通して、私の場合は並び替え問題は1問のみ、計算問題は10問も出ませんでした。

 

テストの特徴は2つあります。

 

まず、フラグ機能があります。勘で回答した設問やひとまず飛ばした設問にフラグをつけておけば、回答提出前のチェック画面でフラグを立てた設問をピックアップして参照できます。この他、回答が漏れている設問にも自動的にフラグが立ちます。

 

そして、計算問題用にパソコンの電卓機能が使えます。電卓以外に、ホワイトペーパーと呼ばれるメモ用の台紙とペンが配布されます。ホワイトペーパーは書いたものを消すことができないので、追加する場合はスタッフに声をかけましょう。

 

 

受験費用

ここでは今回の受験費用をまとめています。日本円は日本生産性本部への支払いで、米ドルはASCMやテストセンター運営会社への支払いとなります。

 

  • CPIM Bundle:185,000円(Part.1と2のテキスト+受験クレジットのセット)
  • SCM辞典対訳版 :6,480円
  • ASCM入会費:185USD
  • Part.1リスケ費用:45USD
  • ASCM入会費(再):185USD
  • Part.2受験クレジット:495USD
  • Pocket Prep Part.2:100USD(7.勉強方法ご参照)

総額 302,580円(1USD=110JPY換算)

 

上記の内、リスケ費用・再入会費・クレジット購入代の約80,000円は完全に無駄な出費です。確りとスケジュールを組んで受験していればと、本当に後悔してます。

 

また、個人的な学習の範囲では、英語で理解し記憶することが大切なので、辞典対訳版も不要でした。一方で、社内で各種の単語を定義する際には有用だと思います。

 

以上を踏まえると、必要最低限の出費は入会費とBundleで約200,000円です。

 

受験に関する注意点

オンラインコンテンツの有効期限

Bundleにはe-Learningなどのオンラインコンテンツへのアクセス権が含まれますが、有効期限は購入してから1年間ですのでご注意ください。

 

受験クレジットの有効期限

受験クレジットの有効期限は購入してから半年です。期限が切れる前に、受験資格を取得し(ATT:Authorization to Test)、取得日から起算して6ヶ月の範囲で受験日を設定する必要があります。

 

私は仕事がど繁忙期だったため、Part.2のATTをすっかり忘れてしまいました。テストの準備が不十分でも、ひとまずATTを取得し、テストの日程を決めましょう。念の為、クレジットとATTに関してカスタマーサービスへ問い合わせました。

 

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また、クレジットの期限切れ前にはリマインドのメールが届くはずです。私はこれを華麗にスルーしていました。

 

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受験日のリスケジュール

ATT取得後に設定した受験日も、45USDを支払えばリスケが可能です。しかし、日程はATT取得日から起算して6ヶ月の範囲内に限定される点にご注意ください。

 

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私のように受験クレジットを使用しないパターンが最も費用がかかるため、自信がなくても練習の意味も兼ねて必ず受験しましょう。

 

再受験

仮に不合格であった場合、再受験のクレジットを250USDで購入できます。

 

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勉強方法

普段の勉強は専らはテキスト中心です。勉強を日々の習慣にして、継続することが大切です。確り読み込み、体系的に知識を習得しましょう。

 

厄介なのはそのテキストの長さで、400ページを超えています。キャンパスノート(40枚)と比較すると一目瞭然。教材が家に届いた時、腰を抜かしたことをよく覚えています。

 

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 Part.1の勉強期間は6ヶ月で、テキストを2周しました。この他、Bundleのオンラインコンテンツでトレーニングを積みました。

 

Part.1は読後感的に合格できる気がしたのですが、Part.2はとても不安でした。期間も7ヶ月かかり、この文量の再読は精神的に厳しく、またオンラインコンテンツの有効期限が切れていたこともあり、何か別の勉強方法はないかとネットで検索したところ、「Pocket Prep」というアプリを発見しました。

 

「Pocket Prep」はPocket Prep.Incが提供するアプリで、移動中やちょっとした隙間時間で勉強でき、なかなか良かったです。

 

www.pocketprep.com

www.pocketprep.com

 

また、各モジュールごとの正答率が確認できるので、理解が浅いモジュールが可視化され、弱点となる箇所のテキストを再度読み込むといった対策を打てます。

 

ただし、このアプリ(Part.2)にはとても重たい難点があります。

 

私はWi-Fi環境で使用しておりましたが、そもそもコンテンツが表示されない、スリープ状態から復帰できない、トレーニング再開(resume)が上手くいかずトレーニングを構築し直す、最悪の場合にはログインからやり直し、という事態が頻発しました。

 

 

それらを割り引いても、設問数の多さや価格を考慮すれば、まあ悪くないアプリだと思います。受験費用は決して安くないので、必中を目指す人にはオススメです。

 

受験結果

こちらは受験後に会場で貰える受験結果です。Part.1は自信がありましたが、Part.2は設問を解きながら「これはヤバイかも…」とかなり焦りました。結果、やはりギリギリでしたが、無事に合格することができてとても安堵しました。

 

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ここでの注意点は合否通知が不意打ちそのものである点です。

 

回答提出後、APICSに関するアンケートに答えます。ポチポチとアンケートに答えていき、サクサクと進めていたました。

 

回答を提出し終えた次の瞬間、合否判定が画面に表示されます。

 

Part.1初受験時、自信があったとはいえ疲弊しており、緊張の糸が切れていた私はこの不意打ちで完全に思考が停止しました。仮に不合格であったと思うと、私語厳禁のテストセンター内で断末魔をあげていたことでしょう。

 

繰り返しになりますが、アンケート提出後に合否判定が出ますので、くれぐれも心の準備をお願いします。

 

おわりに

いかがでしたでしょうか。ASCMのご説明に始まり、受験時の注意点やオススメの勉強法など、「私が最初に知っておきたかった」ことを余すことなくお伝えしたつもりです。この記事が少しでもお役に立てばとても嬉しく思います。

 

CPIMを取得しなければCSCPやCLTD、SCORは受験できません。私も近いうちにCSCPとCLTDのどちらかにチャレンジしようと考えております。その際には、勉強記録や受験結果をブログやツイッターでご報告しようと思います。

*1:APICS.JP 総合パンフレットより抜粋

http://apics.jp/wp-content/uploads/2018/01/APICS_Japanese_Brochure_2018_01.pdf

*2:2018年6月に出席した日本生産性本部セミナー内の情報